ステンレス(SUS304) 旋盤加工に関するキホンと加工を徹底解説!
ステンレス(SUS)は、難削材の一種で、鉄(Fe)を主成分とし、クロム(Cr)やニッケル(Ni)を含有させた合金です。一般的な定義としては、クロムを11%以上含有させた鋼をステンレス鋼としています。また、11%以上になると錆びにくさ(耐食性)が飛躍的に向上するとされており、このクロムの含有量が増えることで耐食性や耐熱性が非常に高くなる材質です。
本ページでは、SUS304を中心に解説をさせて頂きます。SUS304という材質は、マルテンサイト系ステンレスの中でももっともポピュラーな素材であり、使用頻度も高い素材の一つです。これまで当社でも数多くの加工実績があり、SUS材を活用した旋盤加工品の実績を多数保有しています。
末尾にSUS304の旋盤加工品実績もご紹介しています。ぜひご覧ください。
オーステナイト系ステンレス(SUS300系)
まずはオーステナイト系ステンレスに関する解説をいたします。SUS304材は先に記載している通り、オーステナイト系ステンレスという分類に属しています。このオーステナイト系ステンレスというのは、SUS304に代表される素材で、加工全般で「ステンレス加工」というとオーステナイト系ステンレスを指し、ステンレス素材の中でも最も一般的な材質です。
「ステンレス(SUS303) 旋盤加工に関するキホンと加工を徹底解説!」でもご紹介していますが、本材質は延性および靭性が優れており、耐食性も優れています。当社の加工実績もプラントやエネルギー業界向けが非常に多くありますが、低温、高温環境下でも変化が少ない、優れた材質であるといえます。
SUS304以外にも、このオーステナイト系ステンレスの旋盤加工実績が多数あり、SUS303・SUS304・SUS304Lや、SUS316・SUS316L・SUS317などの加工実績があります。詳しくは、下記加工事例をご覧ください。
SUS304の加工に関する豆知識
・旋盤加工屋が解説!:データムの設定と、表面粗さ精度の加工におけるポイント
・旋盤加工屋が解説!:真円度要求に対するデータムの設定と加工におけるポイント
・旋盤加工屋が解説!:同芯度/同軸度要求に対するデータムの設定と加工におけるポイント
・旋盤加工屋が解説!:振れ精度のデータムの設定と加工におけるポイント
・旋盤加工屋が解説!:隅R・角R指定と加工上のポイント
SUS304を採用する上で知っておきたい!塑性と加工特性とは?
SUS304は、クロムを18%、ニッケルを8%含んでいる、18Cr-8Ni型と呼ばれる組成を持つ素材で、良好な耐食性・加工性・溶接性などを持つ素材です。また、高温酸化に強く、高温環境(約900℃まで)での耐熱性も高いので、耐熱鋼としても使われます。SUS303は快削鋼ではあるものの、高温環境や耐食性が求められる環境では弱いことをお伝えしましたが、SUS304はSUS303と比較して、耐食性・耐熱性に優れた素材であると言えます。
また、SUS430とは光沢の具合以外に見た目はほとんど変わりませんが、強い磁性を持っているSUS430と違ってSUS304 は磁性を持っていないため、磁石を近づけることで材質の判別ができます。また、周辺機器との兼ね合いから、非磁性材を求められる場合にはSUS304がおススメとも言えます。ただし、当社の場合には切削加工を行う為、関係はありませんが、曲げや絞りなどの冷間加工を施すと加工硬化を起し、硬さを増すとともに原子間の構成がわずかに変わることで方位性が出るため、磁性が発生することもあります。
SUS304の旋盤加工事例
次に、当社のSUS304の旋盤加工事例についてご紹介をいたします。当社がこれまで扱ってきた旋盤加工品の中でも最も採用されている材質です。詳しくは下記ををご覧ください!
ステンレス(SUS304)旋盤加工品-薄肉スリーブ-
本旋盤加工品は、ステンレス精密旋盤加工.COMを運営する中川鉄工が手掛けた、オーステナイト系ステンレス製の薄肉スリーブのご紹介です。
本製品のサイズはφ80×300であり、肉厚の点でいうと、最小肉厚は2mmの箇所があり、歪みの出やすい製品と言えます。
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ステンレス(SUS304)旋盤加工品-エンドキャップ-
こちらは、ステンレス精密旋盤加工.COMで加工を行った、ステンレス製、エンドキャップです。
納品先業界としては、医療設備向けとなっております。加工品のスペックとしては、材質:SUS304、大きさ:φ60×50です。
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ステンレス(SUS304)旋盤加工品‐薄肉リング-
こちらはステンレス精密旋盤加工.COMが加工した、プラント業界向け、ステンレス304薄肉旋盤加工品-リング-です。
大きさはφ150×35 外径にバンド溝が3本加工されています。また内径部にも切り欠けが数か所加工されています。
本製品の加工におけるポイントとしては、薄肉形状である点と、溝加工、DカットなどのMC加工が必要となる図面指定がある点です。
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ステンレス(SUS304)旋盤加工品‐薄肉リング-